愛してるよ、何よりも


ベッドに腰掛けてマグカップ一杯の琥珀色した紅茶を一口飲んだ。


温かいものが喉を通って胃に染み渡った感覚が分かった。


平日のお昼ってこんなに静かなんだ。人一人の声も聞こえない。


都会の喧騒の中で毎日慌ただしく働いているせいか、今いる場所がまるで別世界のように感じた。


雲が流れる音が聞こえる。雲ってこんな音がするんだ。


何か不思議な気持ちになった。


再び私はマグカップに入る紅茶を一口飲んだ。


するとそれとほぼ同時に、静寂を裂くように勢いよく音楽が鳴りだした。


音がした方を振り向くと、会社に電話をかけたっきり放っておいたスマホがあった。


誰?こんな時間に。


最近新調したばかりの白いスマホの液晶画面には『夢子』と表示されていた。