あきらめられない夢に

転覆


大怪我


病院に搬送


そのどれもが悪いイメージしかなく、僕は頭を思い切り振って払拭しようとする。


「それでご両親は仕事で病院に行けないから、行けるなら行ってほしいって」


「行こう」


間髪入れずに僕は答えた。

上越が病院に搬送されたことを知って、このままでいられるはずがない。



上越には今までたくさん助けられてきた。



もちろん、僕が今病院に駆け付けたところで助けられるということはできないし、今までの恩返しのようなものができるとも思わない。



だけど、ほんの少しでも、どんな形だろうと何か力になれるかもしれない。


「でも、私たちお酒飲んでいるから運転できないわ。

大阪の住之江だから、もう電車もないし、どうやって?」


タクシーを使えば多額な金額になる。

それでも、一番早く病院に着く方法はそれしかない。


「おい、宮ノ沢」


電話の向こうから低く芯のある声が、僕の耳に届く。


「今から迎えに行く。準備しとけ」


「はっ?お前、何言ってんだよ」


「困ってんだろ?

早く大阪の病院に行きてえんだろ?」


「・・・いいのかよ」


「正直、あんまりあいつは好きじゃない。

けど、お前が困っているなら話は別だ」


「・・・」


「ちゃんと準備しとけよ」


「ありがと」


通話は切れ、僕は部屋へと戻り、慌てて準備を始めた。