「ありがと。
これが、どういう形になっていくのか凄く楽しみだわ」
ルーズリーフを僕の目の前に戻した彼女は特に感想を言うことも無く、初めて母親の化粧箱を覗き込んだ少女のような目をして遠くを見ていた。
僕にとっての一番の読者は彼女であり、その彼女が嬉しそうな表情をするのは僕にとって耐え難い喜びだった。
「新しい作品で思い出した。
昨日、サイトらしきところからメールが来たんだけど、いつもと違うんだよね」
ポケットから携帯電話を取り出し、昨日の昼に受信したメールを表示した。
普段は注目作品や作家の案内などが書かれているものだが、そのメールはそれらとは違っていて明らかに僕個人に送信されたメールのようだった。
「アニメーション監督があなたの作品を映像化したいって、凄いじゃない」
「でも、『今は監督の名前は明かせない』とか、『連絡先を返信してくれ』とか、どう見ても怪しいでしょ。
新手のメール詐欺か何かかなって思って」
僕も最初はこのメールを見て、我を忘れそうなくらい舞い上がった。
だが、冷静に見れば、そんな都合の良い話があるはずもない。
今の世の中ならば、こういうメール詐欺があってもおかしくはないだろう。
「でも、これ本当じゃない?」
首を傾げながら携帯電話を眺める彼女は、手をひらひらさせて僕を呼び寄せた。
そして、携帯電話の画面を僕の目の前に出した。
「ほら、このメールのアドレスと、サイトの運営部のアドレスと一緒じゃない」
確かに上下に二つ表示したアドレスを見比べると、全く一緒だった。
これが、どういう形になっていくのか凄く楽しみだわ」
ルーズリーフを僕の目の前に戻した彼女は特に感想を言うことも無く、初めて母親の化粧箱を覗き込んだ少女のような目をして遠くを見ていた。
僕にとっての一番の読者は彼女であり、その彼女が嬉しそうな表情をするのは僕にとって耐え難い喜びだった。
「新しい作品で思い出した。
昨日、サイトらしきところからメールが来たんだけど、いつもと違うんだよね」
ポケットから携帯電話を取り出し、昨日の昼に受信したメールを表示した。
普段は注目作品や作家の案内などが書かれているものだが、そのメールはそれらとは違っていて明らかに僕個人に送信されたメールのようだった。
「アニメーション監督があなたの作品を映像化したいって、凄いじゃない」
「でも、『今は監督の名前は明かせない』とか、『連絡先を返信してくれ』とか、どう見ても怪しいでしょ。
新手のメール詐欺か何かかなって思って」
僕も最初はこのメールを見て、我を忘れそうなくらい舞い上がった。
だが、冷静に見れば、そんな都合の良い話があるはずもない。
今の世の中ならば、こういうメール詐欺があってもおかしくはないだろう。
「でも、これ本当じゃない?」
首を傾げながら携帯電話を眺める彼女は、手をひらひらさせて僕を呼び寄せた。
そして、携帯電話の画面を僕の目の前に出した。
「ほら、このメールのアドレスと、サイトの運営部のアドレスと一緒じゃない」
確かに上下に二つ表示したアドレスを見比べると、全く一緒だった。



