夏のうだるような暑さもようやく落ち着き、朝の積み込みで流す汗もどうにか許容範囲のところまで戻ってきた。

積み込みを行う倉庫には、冷房機器などは一切置いていない。

エアコンはもちろん、扇風機すら一台も置いていない。

いくら朝の時間帯とはいえ十分な暑さであるに加え、重たい荷物を持って動いていれば次第に体は汗まみれになっていく。



暑いのは積み込みのときだけではなく、配送先に荷物を降ろすときも同じくらい、もしくはそれ以上に暑かった。

一体、どれほど暑いという言葉を口にしただろうか。

今、思い返せば、これまでの人生で最も暑い夏だった。



そんな暑いなかでも、ささやかな天国のような時間もあった。

トラックを次の配送先へと走らせているときはエアコンの冷房をつけているので、外の暑さが嘘のように涼しかった。

主任は「燃費をもっと気にしろ」と毎日のように言い続けていたが、僕たちは全くといっていいほど聞く耳を持たなかった。



仕事は大変だったが、それでも僕は毎日が充実していた。

いや、充実『している』と表現したほうが正しいのかもしれない。