あきらめられない夢に

団長といえばつぐみさんのお父さんで、四十歳の主任と一体どういう知り合いなのだろうか。


「団長さんと知り合いということは、娘さんも知っているんですか?」


「おう、一応な。なんだ、つぐみちゃんのこと知っているのか」


「はい、ちょっとした知り合いです」


ついさっきの主任の言葉を真似し、それに主任も気付いたようで二人で小さく笑った。

仕事とはまた違った雰囲気を主任は持っていてどこか違和感があるが、それは嫌な違和感ではなかった。



仕事のときと、そうでないとき。



その切り替えが、この人は上手くできているのだろう。


「じゃあ、俺はそろそろ団長のところに行くから」


「はい、また明日からよろしくお願いします」


右手をこちらに向かって素早く上げ下げし、受付の後ろを通って階段へと消えていった。



すると、主任と入れ替わるようにして、階段から舞台に出ていた役者と思われる人たちが下りてきた。


「あっ、来たよ」


下りてくる役者たちのなかでも、最後につぐみさんの姿が現れた。

まだ、舞台衣装のままでいるためか、先ほどの舞台での役が脳裏をよぎる。