「だから可愛げねぇんだよ」


………もうコイツ、何なんだよ!?さっきからずっと私に突っかかって来やがって!!


「ごめんね、来生さん。充さんや一さんには身長では負けてるし顔も紫野さんには負けてるから、あの寮では翔はパッとしないけど、学校じゃすごくモテるんだよね。だから結構女の子には我が儘なところがあるんだ」

「見た目に騙されてるんですね、その女の子達。うーわー可哀想」


ふん、だ。言われっぱなしで負けてられるかっつーの。


「お前、調子のんなよ」

「お互い様ですね」



そこへ一さんがトレイを掲げて運んで来たので、舌戦は中止となった。

「すみません、一さん。まだ運ぶの、ありますか?あと、お金も払います」

一さんに運ばせたのを申し訳なく思ってそう聞くと、一さんは「今日は奢るから。あと、ドリンクのトレイだけ持ってきてくれたらいいな」そう言って、それぞれに分配した。



「じゃー遠慮なく。頂きまーす」

赤間君はそれだけ言うと、早速ポテトを鷲掴みしている。

どんだけ腹減ってんだよ。



「来生さんは新学期から、バス通学?それとも電車?」


秦野君が自然な口調で話しかけてきてくれた。



前の家からはバス通学だったけど、今の寮からは駅の方が近いし、便利だったから電車通学に替えるつもりでいるけど。


「電車、ですね。M駅で降ります」

「だよね。西南はその一つ先の駅だから、新学期が始まったら、朝は一緒に行こうよ」


お!? これはもしかして、作戦成功でしょうか!?



にこりと笑って秦野君に答える。


「朝の混雑に慣れてないから、よろしくお願いしますね」


秦野君を見て頷いたら、赤間君がコーラをひっくり返した。


どんだけ慌てて食ってんだよ。