秦野君は既に食堂から居なくなっているから、赤間君と私を隔てるものは何も無い。
「ああ痴女だ。但しお前と慶助にはそういう行動は取らないから安心しろ」
当たり前だ。彼女持ちのノーマル(普通に男女間で恋愛できる奴のこと)なんて、たとえ500メートル離れていても覗きたくはない。
「金髪にすれば良かったかな?紗凪ちゃん『そういう行動』、また考えてるだろ?」
紫野さんが私の顔を、ものすごい近距離で覗き込んでいる。
「紫野さん、近いです!私、5メートル後ろですから!若しくは天井裏」
「お前今度は天井裏かよ!?」
「紗凪ちゃんなら盗聴にも気を付けないとね。いつかヤられそうだよ」
「てへっ」
「可愛くねーんだよ!!」
「……なんか仲良さそうですね、充さん達と地味女」
赤間君が、食べ終わった食器のトレイを持って私のすぐ後ろに立っていた。
つーか彼女持ちマジでKY なんですけど。この薔薇が背景に飛んでる耽美な空気が読めねーのか、あ?
「今日一日で、すっかり《仲良く》させて頂けて光栄です」
屈託のない笑顔(但し内心はどす黒い)で充さんと紫野さんに私が笑いかけると、二人は「ああ」とか「まあね」とか曖昧な返事をした。
「おい紗凪。さっきの漫画、後で部屋に取りに行くからな。お前寝んなよ」
充さんはそう言うけど、寝られる訳ないじゃないか。
今日こんなに濃い一日を過ごしたと言うのに。
「紫野さんも一緒ですよね?待ってます」
眼鏡の奥からキラリと目を光らせて、私は充さんと紫野さん、二人を交互に眺め見た。
わいわいと騒ぐ私達を尻目に、食堂から無言で出ていく赤間君を、気にかける事は全く無いまま……。
「ああ痴女だ。但しお前と慶助にはそういう行動は取らないから安心しろ」
当たり前だ。彼女持ちのノーマル(普通に男女間で恋愛できる奴のこと)なんて、たとえ500メートル離れていても覗きたくはない。
「金髪にすれば良かったかな?紗凪ちゃん『そういう行動』、また考えてるだろ?」
紫野さんが私の顔を、ものすごい近距離で覗き込んでいる。
「紫野さん、近いです!私、5メートル後ろですから!若しくは天井裏」
「お前今度は天井裏かよ!?」
「紗凪ちゃんなら盗聴にも気を付けないとね。いつかヤられそうだよ」
「てへっ」
「可愛くねーんだよ!!」
「……なんか仲良さそうですね、充さん達と地味女」
赤間君が、食べ終わった食器のトレイを持って私のすぐ後ろに立っていた。
つーか彼女持ちマジでKY なんですけど。この薔薇が背景に飛んでる耽美な空気が読めねーのか、あ?
「今日一日で、すっかり《仲良く》させて頂けて光栄です」
屈託のない笑顔(但し内心はどす黒い)で充さんと紫野さんに私が笑いかけると、二人は「ああ」とか「まあね」とか曖昧な返事をした。
「おい紗凪。さっきの漫画、後で部屋に取りに行くからな。お前寝んなよ」
充さんはそう言うけど、寝られる訳ないじゃないか。
今日こんなに濃い一日を過ごしたと言うのに。
「紫野さんも一緒ですよね?待ってます」
眼鏡の奥からキラリと目を光らせて、私は充さんと紫野さん、二人を交互に眺め見た。
わいわいと騒ぐ私達を尻目に、食堂から無言で出ていく赤間君を、気にかける事は全く無いまま……。


