赤間君からの差し入れのチョコはありがたく頂いたが、赤間君の気持ちはノーサンキューなので、もしまたばったり会っても今度こそ無視してやろう。


そんな事を考えながら身構えて食堂に向かった。


くんかくんかと食堂から漏れる匂いを嗅ぐと、お腹がぎゅるるーとあり得ない音を出して鳴り響いた。


ちょ、私の女子力どこに?



幸い誰も聞いてなかったから良いけど、寮生の誰かに聞かれてたら恥ずかしいんですが。


お腹の音が治まるのを待ってから、食堂のドアを開けた。


食堂のカウンターには紫野さんが凭れ掛かっていて、厨房の中をじいっと見つめている。


何だろ?


紫野さんが黙って何を見ているのかが気になって、私も釣られて厨房の中に視線を移した。