「長らくお待たせしました。」 笑顔で言って、クルンと俺に背を向けた。 「ちょっと待って!これは?」 「お金を拾ってくれたお礼です。」 「そんなのいいよ。」 見過ごすやつの方が少ないと思うし、それだけのことで見ず知らずの女の子からジュースを貰えるほど図々しくない。 だから返そうとした。 だけど、受け取ってくれない。 「ダメです、貰ってください。」 意外と頑固だ。 「…じゃあさ、今度会ったときは俺が奢るよ。」 何でこんなことを口走ったのか分からない。 今度っていつだ。