「――ヤバッ 降って来ちゃったよ…!」 校門を目の前にした時、とうとうポツポツと雨が降り始めた。 小池さんは走り始め、私も遅れないように一歩、前に出た。 前からは、赤い傘をさした女性がこちらに向かって歩いてる。 「姫野さん!早く!」 呼ばれて足を早めようとしたけど…… 一瞬だけ、女性に目を向けた。 校門を通り抜ける瞬間…―― 私は振り返った。 .