やっぱり正門は開いておらず、先輩と裏門に回る。
分厚い雲のせいでただでさえ薄暗いのに、裏門にたくさん植えてある木々のせいで余計暗い。
「今日も田尾、来てるかもしれないよな?」
「はい。多分、来てるんじゃないですかね」
あたしと先輩は目を見合う。
「どこかに田尾が隠れてるかもしれないから、慎重に進もう」
あたしは先輩に頷き、先輩の後を追って小走りで校内に入った。
出来るだけ目立たないよう、雨をしのげる校舎の陰に隠れ、多少濡れることを我慢して傘をたたむ。
大雨じゃないのが幸いだ。
体育館からは、以前のようにシューズの音がキュッキュツと響いている。
「この前、その先輩の顔は見たの?」
先輩が小声で言い、すぐ隣で身を潜めるあたしを見下ろす。
「いえ。体育館から人の声がした瞬間、そこの水道で田尾くんがあたしに覆いかぶさるようにして隠れたので」
あたしは目の前にある水道を指差して言った。



