「深刻そうな顔をして、何の話し?」


先輩はオレンジジュースをストローで吸うと、あたしとさおりを見て眉を上げながら微笑む。


「田尾くんの話です。実はあたし、田尾くんのお姉さんから田尾くんが部活を辞めた理由を聞いて、土曜日に調べに行ったんです」


あたしは、さっきさおりに話した事を、そのまま先輩に話した。


「神村、ひとりで行ったの?」


「え? あ、はい。土曜日、部活が終わったあとに、行ってみました」


あたしが答えると、先輩は大きく息を吐いてあたしを見て眉を寄せる。


……え? あれ?

なんか、先輩怒ってる?


「またひとりで行動したの?」


やっぱり怒ってる……。


あたしは助けを求めるように上目づかいでさおりを見ると、さおりは肩をすくめて苦笑した。


「神村はいつもひとりで行動して、ひとりで傷を作って帰ってくるんだから」