付き合っていた頃、司は仲間達とサッカーチームを作っていて、何度か真彩も練習や試合を観に行った。


司がサッカーよりも好きなのは釣りで、1人でバイクに乗って釣り場を探し、日がな1日釣り糸を垂れることを好んだ。


司には、そういうマイペースなところがあり、休日を一緒に過ごすつもりの真彩と喧嘩になったこともあった。



「結婚記念日、ちょうど土曜日だぜ。
藤沢で理亜、預かって貰えないかな?」


ふいに光俊が真彩の顔を覗き込んだ。

真彩は、はっとする。


再来週に二度目の結婚記念日が近づいていた。


「ああ、土曜日なら、多分大丈夫だと思うよ。今度訊いておくね。
何かプランあるの?」


「うん。会社の後輩が、教えてくれたんだけど、藤沢ですごくいいフレンチの店があるって。
小さな店だけど、カジュアルだし値段も手頃だって。
そこでディナーでもどうかなと思ってさ」


「うん。いいね」


光俊の言葉に真彩は笑顔で返した。



結婚記念日には、二人でゆっくり過ごす時間を作るーーそれは、婚約の時に交わした約束だった。