「心ちゃん、」


星野くんに会いたい。


私がステージに走りだすと、

佐野くんは大きく私を呼び止めた。


足をとめる。

すると


「好きだよ、心ちゃん」


背中からいつもの佐野君の声がした。


だから私もふり返って大きな声で言ったんだ。


「私も好きだよ、佐野君」


思いっきり走ってステージに向かったから

佐野くんのつぶやいた言葉は耳に入ることがなかった。




「ばーか、俺のとちげぇよ」