…だって誠とのこの夏の思い出ってあんまりないんだもん


彼女、彼氏らしいこと


そんなのする必要もないくらい私たちは毎日会っていたけど

それでも誠との夏らしい思い出が欲しかった



なんて、言えないけどさ


「ここでいい?」

花火の入ったビニール袋を下げてやって来たのは私の家の裏の空き地


「やべ、ライター忘れた」


「えー⁉持って来てって言ったじゃん」


「わりわり」


「すぐ持ってくるから」