『魔術師の中には1000年に一度ぐらいに呪文を言葉に出さなくても魔術を発動させられる人が現れるんだって』



ジークの頭の中にふと昔グランが教えてくれた言葉がよぎった


『まぁ、僕達みたいなのにはあり得ない話しだけどね』



この言葉を思い出した時ジークはまたまた笑いが込み上げて来た



「(あり得ない…?そんなのやってみなきゃ分からないだろ)」



もう一度両手を前に突き出し、重ねる



風が吹き荒れ炎は一層強く明るく燃えた




青い光は右手…左手にも集まった



押し寄せる波…大量の水…

一瞬でジークの頭にイメージが広がった


「(行ける…)」



光は部屋全体に広がった


「成功だ…」



ひやっとする空気


上から聞こえる『ザァァ』という音…



波がジークに向かって押し寄せて来た





「やば……シールド張ってなかった」





魔術をかけた時にはもう遅くジークは波に飲み込まれてしまった