ジークは外から聞こえる音で目を覚ました



時計をみるとまだ3時だ


もう一度眠りに入ろうとした時
ものすごい光が厚いカーテンを突き破り部屋の中に入ってきた


窓から離れていたジークでも目が痛くなるほどだ



ベットから飛び降り急いで窓へと向かった


そこには地の果ての様な光景が広がっていた



城を囲む森は『ボウボウ』と燃え



鳥は煙の向こうへと飛んで行く


炎は窓越しに見ているジークの顔を照らした



「____グラン……グラン!!」


ジークはドアを乱暴に開け、1階にあるグランの部屋へ縺れそうな足を向けた


最初はゆっくり…だんだんと足取りは速くなって、最終的には走っていた



グランの部屋の前に着いた

もう火が回っていた



でもジークはそんなの御構い無しに中へと進んで行く


「グラン!グラン!」


家具はもう原型をとどめていなかった

急いでベットに顔を向けるとグランはいなかった



膝に手を付き、体全体を使って呼吸をする



「ハハッ…」


ジークは笑う事しか出来なかった

冷静になって考えればそんなの分かる事



認めたく無いが魔術の腕も、体力もジークより上のグランだ…きっともう避難してる


もう、火傷の痛みは感じない…


周りをみれば火、火、火…

ダメだ完全に炎に囲まれてしまった



「いや……」


ジークは流れる汗を拭き取り、顔をあげる


「こんな所で…こんな所で死んでたまるかっ!」



両腕を前に突き出し右の手のひらが見える様に重ねる


「こんな炎魔術でぶっとばしてやる」



魔術をかける時に大切な物の一つにイメージ力が入る


水が波の様にのしかかるイメージ…



徐々に青い光がジークの右手に集まってくる

「『デトールファ(存在させる)』の魔術により、水がっ…ゴホッゴホッ」



肺に煙が入って来た

このまま続ければ焼け死ぬ前に死んでしまう


「(ちくしょぉ…クソッ!俺は何も出来ないのか⁉)」