「タタタッ…」
広い広い廊下を走る
右にも左にも肖像画…
その下に色々な種類の花が入った高そうな花瓶がこれまた高そうなテーブルの上に置いてある
少年は長いブロンドの髪を束ね、そんな物には目もくれずに走った
彼の名前はジーク
本名はジークフリートだがみんなジークと呼んでいる
ジークはまるで迷路のような道を慣れた足取りで進みながら後ろを振り返る
長い廊下の突き当たりには大きな羽の
ついた馬の絵が額に入っている
いわゆるペガサスだ
そのペガサスは不思議な事に翼とたてがみ、尻尾だけ闇のように黒くあとは雪のように真っ白た
最初はよく目に入に止まっていたその絵も今は素通りするようになった
長く続く廊下を目を細めながら見た
・
・
「(大丈夫だ…誰も追って来ない)」
口の中は血のような味がする
息づかいも荒くなって来た
いったん足を止め階段下の影に隠れた
そこは明かりも少なく、見事に棚の影になっている
隠れたものの荒い息のおかげで周りの音がよく聞こえない
「_____ッ…タタッ……コツ、コツ…」
⁉
足音が近づいてくるっ…?
さっきジークが走って来た方向だ…
「コツ、コツ………………。」
足音が聴こえてから数秒で足音はおろか荒い息づかいさえ聴こえなくなった
ジークは少しだけ顔をだし足音のした方を確認しようとした
頭の中ではスパイ映画のようにサッと済ませる予定だったんだが…
「何をやってるんだい?」
「え…?」
後ろの方で高めの声がする
あれから足音なんてしなかった…
まさか気づかないなんて…
