シュシュの話はしたけれど、授業参観のことについては何も言えなかった。

やっぱり、彼を困らせるわけにはいかない。


本当は来てほしいけど、我が儘を言っちゃいけない。


プリントをくしゃっと握り潰して、ゴミ箱に放り込んだ。


「梓ー」


ゴミ箱をもう一度見て、彼の元へと戻った。

何も知らない彼に心の中でごめんなさいと謝る。

無理矢理笑顔を作って、彼と一緒にごはんを食べた。


「休みの日、買い物にでも行くか」


お買いもの?

野菜はまだあるし…お肉もある。あ、でもお魚、買いに行かないとね。


「違うよ。梓の服選び。夏休みになったら旅行行ったりするからさ」


旅行?

そうだ、夏休みになったら彼も休みを取ってお出かけするんだった。

去年は、伊豆に行って美味しいもの食べたり、遊んだりしたっけ。


「服とかバッグとか買いに行こうな」


今年はどこへ行くんだろう。

どこへ行っても、彼と一緒だったら楽しいからどこでもいいんだけど。

いっぱい遊んで、いっぱい写真を撮ろう。


たくさんの思い出を作りたい。忘れられないような思い出を。


ごはんを食べながら今年の夏休みの計画を一緒に考えた。


ドキドキしてきた、あと少しで始まる夏休み。


彼が新しいノートを持ってきて、何したいか、何が欲しいか、何を食べたいかを書いてくれと言われて、私はひとつだけ書いた。



『2人で一緒に遊びたい』



私のお願い。