あとね、唯香ちゃん達やお父さん、お母さん。近所のおばさん、学校の先生。


皆、大好きなんだよ。


「そうか、そうか!それならいいっ」


急に笑顔になって手紙を彼の鞄に入れて、またごはんの支度を始めた。

不思議に思いながらも彼の隣に立って、お手伝いをすることにした。

さっきまで怒っていたのに、今では上機嫌。


「今日はオムライスにするか」


何だか変な感じがするけれど、また彼を落ち込ませても仕方ない、頷いて材料を用意した。


手際よく作る彼を見て、昔を思い出した。

前の彼は卵焼きを作るのにも苦労していた。ごはんを炊くのも、みそ汁も全然作れなかったのに、今ではお店よりも美味しい。


出来上がったオムライスも美味しそう。


ケチャップで『あずさ』と書いてくれた。私も彼のオムライスに『きょう』と書いた。


この時間が一番好きだ。

2人でまったり、のんびり出来る時間。


「美味いか?」


美味しいよ。スープだって美味しい。

夢中になって食べていると、彼は微笑みながら見ていた。


何だかお父さんみたい。


ふふっと笑うと冷蔵庫からデザートと言ってプリンをテーブルに置いた。

何だか高そう…コンビニで売ってるようなものじゃない。


「これ、俺の元生徒から貰ったんだ。今、パティシエやってるんだが、お世話になったからってくれてさ」


まだ冷蔵庫に入ってるから明日も食えるぞ?と言ってオムライスを食べる彼。


こんなに美味しそうなもの、1人で食べるわけにはいかない。


それに分け合って食べたほうが美味しいって先生が言っていたんだよ。


オムライスを食べ終えると、ソファーに座って一緒に食べた。


苺が細かく刻まれて入っていて、生クリームが混ざっていてとても美味しい。