死んだら天国だなんて、嘘だ



「絞首台で首を括られながら生きるようなものだった。――けれども俺には優しい彼女がいたんだ。愛している彼女が」


冬夜唯一の“生き甲斐”。よほど愛し合っていたとは、幸せそうに思い耽る姿を見て察する。


「最期まで彼女は俺に寄り添ってくれていた。『死なないで、死なないで』そう口走る彼女だけど、やがては『私も一緒に』だなんて言い始める。――嬉しいと言ったら最悪なんだけど、嬉しかった。ここまで愛されているんだと幸せだった。

でも、“最悪になんかなりたくない”んだ」


彼女の前では、いつまでも“理想的な恋人”で在りたいから。


「『君は、生きてくれ』」


残酷で、されど、優しすぎる見栄。


「他にどんな言葉をかければ分からなかった。だから“これ”が正解だと思ったし、彼女が幸せに生きてくれるなら、“死んでも構わない”って思えたのに――」