「でないと俺は、『彼女』を殺してしまうから」
「彼女?」
「生前に付き合っていた彼女」
自分で言っておきながら、『生前』の言葉がおかしく聞こえたか、冬夜は生前と繰り返す。
「死んだんだ、俺。ドラマかなんかで使われそうな病気でね。もう手の施しようがないと余命一ヶ月宣告。――ああ、ほんと、怖かった」
しみじみと語れるのは、時が経ちすぎたためか。
『怖かった』。一言で終わる単語に、どれだけの“重み”があるのか、頬白は聞かずとも知ってしまう。
辛かったね、可哀想。それらの言葉を叩き壊したくなるほどの、“重み”だった。


