「嘘、だろ。そんな……だって、俺は」
彼女に生きてほしかった。だからこそ、誰とも分からぬ奴を殺して来たのに。
「あ、あぁ、彼女も……、そっか、彼女も」
俺と同じになった――喜ぶべきか否かの答えに冬夜は体を震わせるが。
「彼女、“ここにはいませんよ”」
「――」
『あなたのように』、と言われた気がした。
実際はそうなのだろう。頬白という少年は優しすぎる。残酷な言葉を吐かずに、されど真実から目を背けぬように気づかせてくれる。
「彼女の最期、見たのか」
「あなたが言った通りの幸せの中、寿命を全うし、亡くなられました」
「そう、か……」
「彼女には愛する子や夫がいた。それでも彼女が、笑顔で逝けたのは――あなたがいたからですよ」


