「…やっぱ、長いよね?」


「それが毎回なら、長いと思う」



とある、うららかな秋の日。

私は澄んだ秋の空気とはうらはらに濃厚なお喋りを友人と繰り広げていた。



窓の外には暢気な赤トンボ。

そしてゆらゆらお日様の射し込む部屋の隅では、ぷにぷに玉のような赤ちゃんがスヤスヤ寝息をたてて眠っている。



この夏、第一子を産んだ佐知へお祝いと労いにはるばる彼女の家までやってきた私だったけれど。

初めて対面する佐知によく似たノリちゃんにメロメロになったのち、気が付くと私は育児生活で色気のある刺激に飢えていた友人の格好の餌食となってとんでもないトークを喋らされていた。


まあ、佐知とは昔から唯一こういうぶっちゃけた話をする仲だし。

私も学生の頃は色々と“先輩”だった佐知に根掘り葉掘り聞いたものだったけど。


でも、いいのかな。


ちょっとだけ私を戸惑わせるのは

いくらまだ話が分からないとは言え、純真無垢な顔をしてすぐ側のベビーベッドで眠っているノリちゃんの存在と

まさかこんな話を友人としてるなんて思いもしないだろう、にこやかに今朝送り出してくれた紗和己さんの顔が浮かぶ。