「そういうことです。なので、佐野さん…
僕たちは別れることはないので」
後ろから彼の声が…
振り返れば、自分のことを"僕"と言う表の顔の富樫くんがいた
女の子は何も言わず、泣きそうな顔でその場を立ち去った
沈黙が続く
なっ…何か言わなきゃ…
あれ、ちょっと待って…もしかして、あたしの言ったこと富樫くんに聞かれてた!?
「実羽さん…」
富樫くんの方から沈黙を破った
「はっ…はい!」
ビックリして敬語になってしまった
「それ、資料室に持っていくんですか?」
「えっ、あっうん…」
そう言うと、あたしの手の中にある紙の束を無言で持ってくれた

