好きの気持ちがわからないまま
春が終わり暑い夏が始まろうとしていた


富樫くんがあたしのことを下の名前で呼ぶのにも慣れた



今日も昇降口には富樫くんが…

衣替えで夏服に切り替わっていつもと少し違う雰囲気

いつもの眼鏡姿に少し緩めたネクタイ
優等生を装っている彼…

あたしに気づいた富樫くん



「なんでずっと立ってるんですか?
帰りますよ」

あたしの顔を覗きこんで言った

いつも通りの帰り道
今さら気付いたけど…歩調を合わせてくれてた

見えてくるあたしの家…
家の前に着いた時



「実羽さん、今週の土曜日…暇ですか?」


「暇…だけど」

唐突に聞かれてびっくりしながら答える