「そんなことないですよ」
意味深な言葉と笑みを残して
自分のクラスのあるほうに帰っていった
自分からは見えないけど、たぶん…
キスマークを付けられた…
もっと…抵抗できたはずなのにできなかった
とりあえず授業に行かなきゃ…
髪の毛で鎖骨を隠しながら生物室に戻る
"忘れ物をした"と先生に伝え、席に着くと
後ろから舞香に肩をたたかれて振り向いた
「ずいぶん遅かったね」
小声で尋ねられた
「うん、ちょっとね…」
曖昧な態度をとると
「富樫くんでしょ?」
「なっなんで?」
「ここ、見えてるよ」
にやっと笑いながら自分の鎖骨を指差した

