表と裏の恋



「えっ…あっち」

あたしの指差した方向に足を進めた
あたしも横に行くと



「で、さっき何を言いかけたんですか?」

前を向いたまま聞かれた
あっそうだ、言わないと…



「あの…やっぱり付き合えない」


「どうしてですか?」


「どうしてって…あたしじゃなくて、自分の好きな人とちゃんと付き合いなよ」

学校から少し遠ざかって、生徒も見えなくり
富樫くんは眼鏡を外した
眼鏡を外す姿がなんだか色っぽかった



「好きな人はいませんよ」


「じゃあ、なんであたしと付き合ってって
言ったの?」

身長の高い富樫くんを見上げた