DECIMATION~選別の贄~


遡ること半年前。

中富が店長となり数ヶ月が経った頃だった。

まだ従業員は中富自身と今はもう辞めてしまった能勢という女性だけで運営していた。

二人でホテルを切り盛りする中で、二人はお互いに惹かれ合い禁断の恋に落ちた。当時、能勢には旦那と幼い子供が二人いたのである。

育児が大変になると能勢がシフトに入れなくなり、人手を補うためにやってきたのが北川だった。

「気色が悪いな……」

中富の北川に対する第一印象はそれであった。そんな人物でも雇わなければならないほど、人員補充は火急の案件だったのだ。

その時の中富は最悪誰か他のバイトが入ったら、何か取ってつけた理由をつけて辞めさせてしまえば良い。というほどにしか感じていなかった。

だから中富は最低限の仕事しか教えなかったし、規則についてもそこまで深くは説明していなかった。特に人様の情事を覗き見るてはならない、など当たり前の常識くらいは備えているだろうと高を括っていたのだ。

その頃、能勢との関係性にも急な変化が現れ始めていた。

その日は3人が出勤をしていた。北川は休憩時間で仮眠を取っていた。

中富は能勢にある一室に呼び出される。

神妙な面持ちの能勢から出てきたのは関係の破綻(言い渡すものだった。

おる程度の予想はしていた。ある程度の覚悟はしていた。だが、それ以上に中富は能勢のことを愛してしまっていた。

「……分かった。最後にここで君のことを愛させてくれ」

縋るような中富の声に能勢は断ることができず、勤務時間内ではあったが、二人は交わるのだった。

それを北川は監視カメラで一部始終観ていたのだった。