−流生 side−
「………」
「………」
シン…、と静かな車内。聞こえるのは動いてる車のエンジン音だけ。
勢いで…というか、ほぼ無意識であいつの家に行って、こいつを連れ出してきたわけだけど…。
俺が言うのもなんだけど、気まずい。だいぶ。
まあ、半分以上俺のせいなんだけど。なんにしたって、この空気は俺に突き刺さるくらい、痛い。
俺も元々、輝みたいに喋るようなやつじゃないし、こいつも…たぶん喋りにくいって空気で感じてるんだろう。
「(そりゃ、無理矢理した俺も悪いけど…)」
なんつーか…、そこまであからさまな態度とらなくても、なあ…?
「…あ、あの…流生、せんぱい…」
「!」
まさか、こいつから喋りかけてくるなんて思ってなかったから、思わず驚いた。
「…ん?」
なるべく、優しい言葉で返事をした。