金持ちくんと貧乏ちゃん




玲菜にそう促され、しぶしぶうなづいた。


でも謝れって言ったってなあ…。もう行かないって言っちゃった手前、旧校舎にはものすごく行きづらいし……。




「とりあえず、教室戻ろっか」


「う、うん…」




玲菜に腕を引かれるようにして、空き教室を出た。


流生先輩のことが気になってテスト勉強どころじゃなくなりそう…。




「…あれ」


「玲菜?」




ピタリ、と急に立ち止まった玲菜に私は声をかけた。



「うちのクラスにすっごい人集まってる…」


「え?……あ、ほんとだ」




ふたつある扉は両方とも人であふれえっていて、私たちは顔を見合わせて教室に近づいた。