金持ちくんと貧乏ちゃん




「くっそ…」




本気か、なんて知るかよ…。最初は興味本位だったんだ。


なあ、お前も最初は興味本位だけであいつに近づいてたろ。なんで、いつの間に本気になんてなってんだよ…。




「……くそ輝が」




ダンッ、と壁を思い切り殴りやり場のない怒りを沈めることに精一杯だった。


好きか、と聞かれると返答に困るが、じゃあ嫌いかと聞かれれば別に嫌いじゃない。


その“好き”が恋愛感情なのか、それとも違うものなのかは俺自身わかんねぇ…。


でも、あいつに言われたらなんかイラッとした。




「…あいつ、本気で好きなのかよ…」




なんで俺が、あいつ…樺恋のことを気にかけてるかもわけわかんねぇし。




「あー、ムカつくな…」




愛だの恋だの、めんどくせぇ…。俺はそういうの苦手なんだよ…。


ただあいつの泣き顔が頭にこびりついて離れなかった…―――




−流生 side end−