金持ちくんと貧乏ちゃん




「本気じゃねぇの」




今日の輝はやけに真面目だな。…まぁ俺があんなことしたせいでもあるんだろうけど。


ずっと黙って視線を逸していると、頬をつまんでいた手は胸ぐらへ移動した。




「お前…いっつも大事なとこはぐらかすよな。本音言いたくねぇの?黙ってりゃ済むって思ってんの?」


「……、」


「オレはね、流生のそういうところ唯一嫌いだよ。いつもの口悪いお前じゃねぇと、つまんねぇ」




苦虫を噛み潰したような顔をするから、俺は言葉に詰まった。


俺は……。




「流生が本気じゃねえなら、俺がもらっていい?樺恋ちゃん」


「……っ」


「何も言わねえってことはいいわけね」




そう言って輝は胸ぐらから手を離すと、立ち上がった。




「俺、狙った獲物は逃がさないから」




俺を横目に睨みつけると、輝はどこかへ行った。