勢い任せに言えば流生先輩はますます不機嫌になってしまった。
な、何よ…。ちょっと顔が良くて金持ちだからって…。どうせ人の事見下してんでしょっ!
「チッ…。お前ほんと、掴めねェやつ」
「は…?」
「いいか?」
肩口をドン、と押され背中が壁にぶつかる。目の前には流生先輩、後ろには壁。
…これは私の逃げ場がない。
「俺がだれかれ構わずあの部屋に女を入れると思うなよ?…それに、あの部屋に入った女はお前が初めてだからな」
「…っえ、でも……」
「でもじゃねェよ、バカ。お前は俺の特別なんだよ」
流生先輩の綺麗な目に見つめられ、どきっとするけれどきっとこの言葉に深い意味はない。
そう思うと、なぜか悲しくなり胸がきゅうっと締め付けられる感覚に陥った。
「…っ意味が、わかりません」
「あ?」

