金持ちくんと貧乏ちゃん




急に真剣な声音で言うから、閉じていた目を開けた。


…だから、何で俺に言うんだよ…。




「流生くん、何気に恋愛経験ゼロだもんね。寄って来る女は山ほどいるのに」


「……俺はお前と違うから」


「うん。だから、多分、樺恋ちゃんが初めてでしょ?」


「は?」


「女の子に興味湧いたの」




そう言われてみれば、そうかもしれない。今まで、女という女は山ほど見てきた。


けれど、どれも相手をするような奴らじゃなかった。ここに呼んだのも、あいつが初めてだ。




「実感、した?」


「………」


「その顔じゃ、微妙そうだね〜…」




輝は苦笑いをこぼすと、ふぅ…と息を吐いてソファーにもたれかかった。




「叔父さんも、大変だね」


「あ?」


「早く流生くんに良い相手見つかんないかなぁ、ってそわそわしてるよきっと」




にっこりと笑って言うもんだから、チッと舌打ちをこぼしてまた目を閉じた。


恋愛…か。




-流生 side end-