ただ、アイツと居ると自分が自分じゃなくなるような気がして落ち着かない。
「ふふん…。側に置いておきたいほど、惚れこんだ?」
「……。変なヤツに盗られるくらいなら、お前に盗られた方がマシだ」
「おっ、マジ?」
「冗談だ、バーカ」
はっ、と見下したように輝を見たあと顔を逸らして窓の外を見た。
グダグダと文句を言う輝はシカト。
「……」
“側に置いておきたいほど、惚れこんだ?”…さっきの輝の言葉が頭から離れない。
惚れた?俺が?あの女に?……ありえねぇ。確かに容姿は良いが、俺の好みじゃない。
俺は…もっとこう……、スタイルが良くて色気のある女が好きで…って何言ってんだ。
「はぁ……」
「…認めちゃいなよ。流生くん、無意識のうちにあの子に惚れちゃったんだよ」
「………うるせぇ!んなことどーでもいいから、お前はとっとと書類を片付けろよ!」
八つ当たりのように再びクッションを投げつけると、避けられた。

