入学式も無事終わり、今はLHRの時間。先生がプリントを1枚1枚配っていく。


私の担任は、比較的若いらしく黒縁メガネに無造作ヘアーが女子生徒に受けていた。


まぁ、所謂、爽やか先生と言ったところだ。




「あ…」




前の子が渡そうとしてくれたプリントに、私の手がぶつかってひらりとプリントが床に落ちた。


…しまった。ぼーっとしてた。




「ご、ごめんなさい」




慌てて席から降り、プリントを拾おうとしたらプリントが、浮いた。




「どうして謝るの?プリントが落ちたのはあたしのせいでもあるんだから」


「え…」




そう言われて下げていた顔を上げれば、茶髪がとても似合う綺麗な女の子が微笑んでいた。


「はい」と渡されたプリントをどきまぎしながら受け取った。


―――これが、彼女と話した最初の出来事。




「同じクラスだし、席も後ろだし、仲良くしよう!あたし水城 玲菜(みずきれな)!」


「うえっ!?あっ、私は桜 樺恋…です!」


「樺恋…可愛い名前だね!あたしの事は玲菜って呼んで!」


「う、うん…!」




―――…早速、友達が出来た。


玲菜は、派手と地味で言うならば“派手”な部類に入る。


けれど、見た目とは裏腹にサバサバとしていて思った事ははっきり口にしないと気が済まないタイプらしい。