「───どうぞ」


「…どうも」




最後まで執事キャラを貫くつもりなのか、ずっとこの調子だ。


…私の調子が狂う。


重たいトビラを開けられると青い空と、本校舎が目に入る。




「うわぁ…学校全体が見渡せるっ」




旧校舎は本校舎の真横にあるから、グラウンドまで見える。




「あんまりフェンスに近寄るなよ」


「え?」




よく見渡せるようにフェンスに近づこうとしたら、流生先輩に腕を掴まれた。




「学校だって言ってもこっちは旧校舎だからな。結構もろくなってるし」


「あ、あぶない…」




よ、よかった…あんまり近づかなくて。


すぐ横にあったベンチに移動して腰をかけると、流生先輩はクスッと笑った。