「というかここ…、旧校舎…ですよね?」
「そうだよ」
そうだよ、あっさりと肯定されて私は拍子抜けした。
旧校舎は私がさっきいた北校舎から少し、離れたところ。言うなれば、南校舎から行った方が距離的には近い。
「んー…なんていうか」
「え?」
「きみもエライ者に好かれちゃったよね」
クスクスと笑う先輩に、私は首を傾げた。
エライもの……?
訳がわからない。それでも先輩は歩みを止めないから、徐々に旧校舎に近付いていく。
「ま…あんま警戒してやらないで」
「……それ、大分無理がありますよね?」
旧校舎なんて何もないし…。というか、そんなところに人がいるの?
「旧校舎の一部は俺たちのモンなんだよね」
「たち……?」
「ま!もうすぐつくし、楽しみにしてて!」
楽しみにしてて!?何をどう楽しみにしとけばいいの!?
こんな状況で楽しめるほど、私は楽観的ではない。
玲菜なら楽しみそうだけど…。

