金持ちくんと貧乏ちゃん




輝先輩の言葉に反応して、壁にかかっている時計を見てそう言った玲菜。


わ、もう1時間経ったんだ…。




「じゃ、ここからは別々のプランなので行動を開始しまーす」


「はい!」




輝先輩はソファーから立ち上がると、玲菜の目前に手を差し出した。




「お手をどうぞ」


「あ、ありがとうございます…っ」




顔を真っ赤にさせて輝先輩の手を握りしめる玲菜。


まるで、エスコートされてるみたい。…実際されてるんだけど。


なんだか、玲菜の顔が恋する乙女で…ちょっと羨ましいっておもったり。




「じゃ、2時間後ね〜」




ふたりしてばいばい、と手を振って音楽室を出て行ってしまった。


私はふたりを見送ったあと、流生先輩に視線を戻す。