金持ちくんと貧乏ちゃん




「!?!?」


「落ち着けよ、前みたいな事はもうしねぇから」




私の目をジッと見て真剣な顔で言った流生先輩に、少し見惚れた。


あの事…気にしてるのかな?私は、気にしてないって言ったら嘘になるけれど…。


私は赤い顔のまま、にっこりと笑った。




「大丈夫、ですよ。先輩のおかげで…気づけた事たくさんあったので」


「……そっか」




流生先輩は真剣な顔を崩して目元を細めて笑った。


その顔にまたドキリ、と心臓が脈打ったけれど私も先輩につられるように笑った。


今日の先輩、かっこいいな…。や、いつもかっこいいんだけど…。


執事服って…すごい…。それをはじめて知らされた日だった。


それから、たわいもない…って言っても一方的に私が話しているだけだったけれど、それでも先輩はちゃんと相づちを打って聞いてくれていた。




「あ、そろそろ時間だねー」


「1時間あっという間でしたねぇ」