化粧室の前のちょっとしたスペースを見つけ、ずっと鳴り続けるコール音を止めて、耳に当てる。
「もしもし…」
「瀬那? 今どこにるの? もう塾は終わったでしょ?」
「あー、うん…」
「何時くらいに帰ってくるの?
あと、模試の結果届いたけど順位落ちてたわよ?
志望校の判定もずっとC判定だし…。
遊んでるならさっさと帰ってきなさい」
「わかったから。ゴメン、お母さん。
今自習室にいる。夕飯までには帰るから」
電話越しの相手はまだ何か言いたそうだったけど、これ以上は私が限界だったから半ば強引に電話を終わらせた。
しまったなぁ…。
今日模試判定届くってわかってたらすぐ家に帰ったんだけどな…。
着信履歴から『お母さん』の履歴を消して(それで憂鬱な気持ちが晴れるわけじゃないけど)私は藍沢くんが待っているであろう席に戻った。
