それは、いつまでも物事をハッキリさせようとしない私を諭すときの口癖。
「雪夜がケガしたのは瀬那の所為じゃないの。
あれは、マジメに喧嘩しなかった雪夜の責任。
別に瀬那がアイツに情けをかける必要はこれっぽちもねーの!
だから、自分の心配して?」
そこで新の声のトーンが優しくなった。
「俺らはいーの。
どうせ毎日のようにケンカして生傷絶えねーんだから。
…だけど、かすり傷ひとつで血相変える瀬那のお母さんが…、それに対してむちゃくちゃストレス感じる瀬那の方が俺はずっと心配だ」
「あらた…」
「だから、瀬那は俺らと一緒にいて守られてたらそれでいーの。
瀬那が守られてばっかりっていうのがイヤっていう性分も知ってるけど、俺らはそこは譲らない」
……その言葉を聞いて、雪夜のケガを負わせたことへの罪悪感がほんの少しだけ薄れた。
ちょっとだけ、新や、他の皆に守られようかなって思った。
「乗る?」
「……うん」
彼の後ろに跨る。
小学生までは私よりも低い身長や細い背中はすっかり大きくなってて。
「瀬那? 手ぇ腹に回して。落ちるよ?」
それでもヘルメット越しの表情は優しい。
戸惑いつつも彼のお腹に腕を回せば、ブォンと一回エンジンが吹いてバイクは走り出した。
