「藍沢、くん…?」
「違う」
「嘘つけ」
彼の否定にすんなり素の返しをしてしまう。
だって、そのボルドーカラーのカーディガンにデニムというシンプルな服装は、つい2時間前の塾の教室で見かけてるから。
「絶対藍沢くんだよね」
「違う」
「……、この間藍沢くんのシャー芯ケースの中身ぶちまけたの私」
「殺、なんだそれ、知らね」
「嘘がヘタクソか」
「テメェ何やってくれてんだ!!!」
と、会話が終盤を迎えた時、殴り飛ばされた不良を囲んでいたうちの1人が突然弾丸の様に殴り掛かってきた。
(あ、殴られる)
って思った瞬間、ガッ!って鈍い音とその不良がひっくり返ったのが同時に背後から腕が取れるんじゃないかって位の力で引っ張られた。
