「た、タシカニ…」

「だろ。そしたら俺らもメンドクセーんだよ。
だから、ほれ」


再度突きつけられたパーカーを受け取り、ブレザーを脱いで代わりに羽織る。


雪夜は背が高いだけあって、パーカーはスカートがギリギリ見えるくらいの丈。

袖丈もブカブカで、ほんの少し、ムスクの匂いがした。



「…匂い嗅ぐなよ、キモチワルイ」


袖を口元に持っていっただけでそんな怪訝な顔をしないでほしい。

雪夜は私をそんな顔で一瞥して、彼らのたまり場へと歩き出した。