「いって…」 耳元で雪夜の細い声が聞こえて、雪夜が殴られたんだって理解した。 「ゆきっ…! わっ…!」 彼のケガを確認しようと頭を動かせば、ばさりと視界が何かで遮られた。 「30秒だけ被っとけ」 それが、雪夜の着ていた上着だとわかったとき、抱きしめられていた感覚が消えて、少し離れたところで怒声と殴る音が響く。 その音が全て止んだのは、雪夜の言った通りに30秒くらい後だった。 「返せ」 「うわっ…」 被っていた上着をはぎ取られ、ぱっと視界に映った雪夜は……、血まみれだった。