ちらりと頭上に目を向ければ、“初日動員数××万人超!”なんて売り文句と一緒に、最近話題の恋愛映画のポスターのヒロインが私を見下ろしていた。


さっきの友達にこの映画を見に行こうと誘われたのはついさっき。

午前中の塾が終わってからすぐのこと。


1人で映画を見たくない! と、彼女は半ば強引に私を誘って、駅前の映画館に私を連れて行ったのだった。


でも残念ながら私は恋愛ものは好まない。
寧ろ、小さな探偵が出てくるアニメ映画が見たい。


面倒くさい…という気持ちを抱えながら、学割のために生徒手帳の開示を…ということで冒頭に戻る。


どうやら私は生徒手帳を落としてしまったらしいのだ。

最悪と思う反面、映画代が浮いた~と考える私がいて。



改めて自分のそういう冷めた部分に呆れてしまう。



「……さて、手帳を探そうかな…」


深く息を吐いて、友達が消えて行った道と反対方向に私はゆるゆると歩き出した。