「………あれ、手帳が、ない…?」
赤いリュックの中を漁り、首を傾げた。
「瀬那、手帳ないの?」
「んー…、あれぇ…?」
友達の声に曖昧に頷いてリュックの最奥に手を突っ込んで探すも、その感触は見つからない。
「…ごめん、やっぱ約束はまた今度でいいかなぁ…?」
「そっかぁ…瀬那今月はギリギリだって言ってたもんね…」
「うん。ごめんね?」
「大丈夫、じゃ、また明日ね~」
元気いっぱい手を振りながら人混みに消えて行った友達の背中を見送って小さく溜息。
(よかった~…。見たくもない映画見る羽目にならなくて。)
なんて思って、安堵している私は女子の中で言う“サイテー”の部類だ。