――――これでもか、と
照りつけていた太陽が
秋の憂いを見せ始めると
夏の終わりが駆け足でやってくる。

このところ小さくなってきた
蝉の合唱が
私の高校最後の夏休みを
カウントダウンしているようだ。


お祭りのような夏が終わる時は
妙に物悲しく
なんだか不安定な自分の気持ちも
そのせいだろうと思っていた。







「篤、あと2週間だね」

夕方、お客さんの途切れたレジで
タグ整理をしながら
ゆかりさんが呟いた。