「香奈ちゃん、目、コワイよ」

無意識に睨むように
目に力が入っていたらしい。

スゴく頼りにしていた分

置いてかれるような・・・
裏切られたような・・・
喪失感が溢れてくる。

そんな気持ちを
笑ってごまかそうとしても
上手く笑顔が作れない。

しばらく努力してみたものの
私にはポーカーフェイスは無理と
取り繕う事を諦め
なんとも微妙な表情で
大久保さんを見つめた。

「実は・・・かなり前から決まってたんだ。
秋からは就職の為の資格勉強の時間とかも欲しくって。
それに、このままバイト続けてたら俺、ここに就職しそうでヤバっと思ってさ(笑)
香奈ちゃんも、買取、出来るようになったし。
大丈夫だよ。頼りになる安達姉さんも、いるしさ」

「私・・・
何にも出来るようになんてなってません」

「ハイハイ。
そんな駄々こねないの。
辞めるまでに、ちゃんと教えるから」

ごねる私の文句を軽く聞き流し
励ますように
背中をドーンと叩き

「さっ、そろそろ働くか~」

気合を入れて歩き出す大久保さんの後ろ姿が
急に、知らない人の背中に見えて

その遠く感じられる
距離が、私は寂しかった・・・。